ポーランドとベラルーシの国境地帯に閉じ込められた難民:シリア人女性の証言

引き続き、ポーランドとベラルーシの国境に閉じ込められた難民の状況について記した記事を紹介したい。今回は、「いかがわしい手法で移民を追い払うポーランド」(原題:Poland Turns to Questionable Methods to Turn Back Migrants)と題された10月6日付のDer Spiegelの記事(URLは以下の通り)である。

https://www.spiegel.de/international/europe/stranded-on-the-eu-external-border-poland-turns-to-questionable-methods-to-turn-back-migrants-a-993e5e25-4da9-4b98-9607-6907f10fe928

記事では、ベラルーシとポーランドとの国境に閉じ込められたシリア人の女性英語教師al-Muallemさん(48歳)が電話で記者に語った話が紹介されている。知り合いからベラルーシの観光者用ビザを取得できると聞いた彼女は、シリアからレバノン、トルコを経由してベラルーシに入り、ポーランドとの国境にまで到着したのであるが、そこから先へ進めない。国境地帯にとどまること20日間、その間12回ポーランドに入ろうとしたものの、国境警備隊から押し戻されたのである。そして13回目の時、すでに彼女は弱って立ち続けることができず、それまで同行していたイラン人に支えてもらう状態であったが、その時に初めて、ポーランドの隊員が温情を示し、ポーランドの病院に入院することができた。彼女は今、ポーランドのNGOが用意した緊急シェルターに入っている。彼女は兄弟が住んでいるベルギーに行くことを希望しているが、この先どのような展開になるかはわからない状況である。記者に語った彼女の言葉を引用しよう。

「国境地帯にいる20日間は、私の人生で最悪の日々でした。残虐な政権(訳者注:シリアの政権のこと)の弾圧を逃れてここまできたのに、また治安部隊から同じような弾圧を受けるはめになりました。」

戦乱と弾圧の続くシリアを逃れて希望の地を目指した al-Muallemさん が発した 「国境地帯にいる20日間は、私の人生で最悪の日々でした。 」という言葉は重い。

最後にこの記事の冒頭に掲載されている写真を転載したい。この写真は8月から欧米系のメディアやツイッター等で拡散されているもので、ポーランドとベラルーシの国境地帯の原野で過ごす難民の方々とポーランドの国境警備兵が撮られている。ここには、 al-Muallemさん は写っていないと思われるが、20日間同じような環境で過ごされたのであろう。ちなみに、ポーランドは9月初めに国境地帯に非常事態宣言を発令し、それ以後メディアもNGO等の支援者も国境に立ち入ることができなくなっている。

Refugees in the Poland-Belarus border area, standing face-to-face with border security forces.

Foto: Wojtek Radwanski / AFP

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