UNHCRとIOM、ポーランドとベラルーシの国境付近での死亡者発生に衝撃、落胆

久しぶりの更新となりますが、今回はポーランド(そしてリトアニア、ラトビア)とベラルーシの国境付近で発生した悲劇についてのUNHCRの報告(以下のURLの英語記事を私が翻訳したもの)を紹介したい。

https://www.unhcr.org/asia/news/press/2021/9/6149dec74/unhcr-iom-shocked-dismayed-deaths-near-belarus-poland-border.html

今回の事件の背景にあるのは、ポーランド(そしてリトアニア、ラトビア)を含むEUとベラルーシの政治的対立である。ベラルーシ側からポーランド(そしてリトアニア、ラトビア)の国境付近に連れてこられた人たち(難民認定申請者)がポーランド(そしてリトアニア、ラトビア)への入国が認められないまま、国境地帯に何十日も閉じ込められることになり、そのうち4名が亡くなられたという記事である。

UNHCRとIOM、ポーランドとベラルーシの国境付近での死亡者発生に衝撃、落胆

2021年9月21日

UNHCR(国連難民高等弁務官事務所、国連の難民支援機関)とIOM(国際移住機関、世界的な人の移動(移住)の問題を専門に扱う唯一の国連機関)は、ポーランドとベラルーシの国境付近での4名の死亡の報に接し、深い悲しみに包まれております。両組織は、亡くなられた方々のご家族に哀悼の意を表するとともに、今回の悲劇について直ちに調査が行われるよう求めます。亡くなられた方全員の国籍はまだ確認されておりませんが、2名はイラク国籍で低体温症で死亡したと報道されております。

ここ数か月、庇護申請者や移民の集団がベラルーシを通過して国境を接するEU加盟国のリトアニア、ラトビア、ポーランドで庇護を求めるケースが発生しております。

UNHCRとIOMはこれら国境地帯でのプッシュバック(国境内に入ってこようとする移民、難民申請者を押し戻すこと)について深い懸念を抱いておりました。彼らは何週間にもわたり(国境地帯で)身動きが取れなくなり、一切の支援も庇護も受けられない状態に置かれていたのです。多くの人たちは悲惨な状況に置かれ、風雨にさらされ、低体温症を患っていたのです。沼地から救出された人もいるのです。

我々は今回の異常な動きに対応していくことが重大な課題であると認識しており、状況が国際的な法的義務に従って取り扱われ、かつ各国が協力して、何より人権を最優先に問題解決に協力するよう、求めてきました。

UNHCRとIOMは、冬が迫って来ていることもあり、渦中に置かれている人々に医療支援、食料、水、シェルターを届けたいと願っております。

国家は、国境管理の権利を有していますが、これは庇護を求める権利を含む人間の諸権利を尊重することと矛盾するものではありません。プッシュバックは生命を危険にさらし、国際法上、違法なのです。

UNHCRとIOMは、関連当局との間で、国境地帯に閉じ込められている人々にどのような支援が可能か検討を進めてきました。支援策として考えられるものは、庇護を受けられるようにすること、家族再統合手続き、そして国際的保護を必要としない人々の自発的な帰還であります。

IOMとUNHCRは、庇護申請者や移民を国家が政治目的を達成するための手段に用いてはぜったいにならないとはっきり申し上げます。弱者を保護する基本的責任は、連帯の精神により国家間で共有されるべきものであります。責任問題をめぐる政治的見解の相違が命を奪うことになってはならないのです。国家の国際的義務や責任を放棄することにつながってはならないのです。

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